2013年度 理事長所信

想いやる心を持って行動しよう!
~多くのつながりの中で~

2013年度一般社団法人加古川青年会議所  第55代理事長 河合 秀樹2013年度一般社団法人加古川青年会議所  第55代理事長 河合 秀樹

2013年度一般社団法人加古川青年会議所
第55代理事長 河合 秀樹

 1958年11月20日、加古川青年会議所は、高い志を持った38名の青年によって、日本で151番目の青年会議所として設立されました。 
本年、加古川青年会議所は、55年目を迎える事となりました。これは、『明るい豊かな社会』の構築を理念とし、その時代の状況に絶えず目を向け、このまちのため挑戦し活動されてきた諸先輩方の功績であり、このまちの方々の理解と協力があったからこそ迎えられる節目の一つと考えます。創立55周年を迎えるにあたり、皆様に感謝すると共に、加古川青年会議所の長い歴史を踏まえ、青年の英知と勇気と情熱を結集し行動をすることで、『志』を大切にした更なる歩みとしてまいります。 

 東日本大震災において、自衛隊や警察、消防、医療の方々の迅速に自らの使命にあたる姿。被災しながらも、我が身を惜しまず立ち上がる地域の方々の懸命な救助作業の姿。避難所で生活されている方々の、互いに助け合い、秩序を守って、礼儀正しく行動する姿。これらの姿は、日本人の持っている互いを想いやる行動として、多くの人々に感動と共感を与えてくれました。そして、阪神・淡路大震災を経験したこの地域に住む人々のなかには、当時の記憶と共に想いやる心を持って行動する事の大切さを改めて思い起こし、我が事のようにあの未曾有の大震災を捉え、復興支援を行った方々が多くおられたのではないでしょうか。 
時間の経過は、記憶と共にその大切さを軽視させ薄れさせます。しかし、非常時のみならず、想いやる心を持って行動する事は大切なのではないでしょうか。なぜなら、その心が薄れると、日頃の生活に追われて、身勝手な考えになり、周囲に対し関心を無くし、自己中心的な行動により様々な社会問題を起こしていると私は考えるからです。 

 現在、私たちを取巻く環境は本当に慌ただしく変化し、ますます混迷の度を増してきています。財政の悪化、政治不安、食の安全、正確な情報の隠ぺい、一昔前では考えられないような無差別殺人など、様々な問題がありますが、これら全てに共通して言える事として、人間としての心の豊かさが失われ、『他人は他人』『自分さえ良ければ』といった、相手に対する配慮の欠如や社会に対する無関心が、この日本で起こっている数多くの社会問題の一つの要因であると考えます。 

情報化の進展、都市化や少子化等により、面と向かってのコミュニケーションに対して、苦手意識を持つ子供が増え、また、社会のルールやマナーを教える心の教育の機会も不十分な状況になっていると考えます。次代を担う子供達には、「ありがとう」「こんにちは」などといった基本的な礼儀と挨拶ができるよう感謝の心を育成しなければなりません。そして、目の前に困っている人がいれば手を差し伸べる、悩んでいる人がいれば寄り添ってあげるなどといった、周囲の人に対して配慮した行動ができるような想いやる心を次代へとつなげなくてはなりません。

 私は2006年に加古川青年会議所に入会しました。当初は例会や事業に出席することで精一杯でした。青年会議所で活動していく中で、家族、仕事、JCの間に挟まれ、全てが前に進まなくなってしまった時もあります。しかし、喝を入れてくれるメンバー、そっと影から助けてくれるメンバー、見守ってくれるメンバーがいました。また、諸先輩方からは、現役当時どのような想いを持って活動されていたのかなど、多くのことを教えていただき、励ましていただきました。私は、多くの方々との関わりの中で、想いやる心を持った行動に助けられ、「自分もそうならなあかん」と己を律し、人やまちなどの周囲に対して考え方や行動が変わっていきました。 
人は、想いやる心に触れる事で、支えられているという気づきを得ることができ、「ありがとう」「おかげさま」というような感謝の心が目覚めます。そして、今までの行動を見つめ直し、「自分もそうしよう」と己を律する事ができます。「自分も頑張ろう」「元気を出していこう」と活力が漲り、行動に移せます。また、触れる機会を多く持つ事は、大きく自分の行動に影響を与え、想いやる心を強くし、視野も広がり、行動の範囲も拡がります。そして、お互いがもっと共鳴し、元気で活力に満ちたまちの創造につながると考えます。 

 変革の能動者たる我々JAYCEEが、まちのリーダーとして率先して行動し、想いやる心をまちに発信していく事が必要です。 
その為にも、青年経済人が多く集う我々は、日本人の精神の根底にもある想いやる心を再認識しなければなりません。また、より多くの心に触れ、己を律し、礼儀や秩序を守った行動をすることによって、周囲の人を元気にさせる魅力あるJAYCEEとならなくてはいけません。 
『明るい豊かな社会』の構築を目指す我々は、積極的に活動するために、議論を交わし理解し合い、個々の力を結集し、一致団結しなければなりません。 
我々が、当事者意識を持ち、結束力を高め、このまちのため積極的に活動していきましょう。 

 2008年以来、50年後の未来への第一歩として、我々の価値観と目的意識の向上のために、加古川青年会議所は、10年間で目指すべき具体的な指針としてVISION2018を推進してまいりました。 
しかしその後、大震災を経験し、人々の暮らしの中で、様々な社会の動きや出来事や新たに生じた問題によって、身近な人々とのつながり、社会貢献、安全安心な生活への意識など、人々の価値観に変化をもたらしています。我々は、時代の変化を見極め、先を見越して行動するために、自らの価値観を再確認する必要があります。 
それらを踏まえ、VISION2018を我々の道標として、より強固に価値観が共有できるよう見直し、引き続き推進していきましょう。 

 想いやる心を中心に据え、我々が志を持って元気に力強く行動し、人とつながりを持つ。それがまるで水面を伝わる波紋のように周りに拡がり人々の心を感化していく。その先にこそ、元気で活力に満ちたまちがあると私は考えます。