2016年度理事長所信

多士彩才 彩れ!その才このまち2016多士彩才 彩れ!その才このまち2016
2016年度一般財団法人加古川青年会議所 第58代理事長 松井隆文img2016年度一般財団法人加古川青年会議所 第58代理事長 松井隆文img

2016年度一般社団法人加古川青年会議所
第58代理事長 松井 隆文

「ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。」

 色褪せることは常なれど、青年会議所運動において、色褪せないものは何であろうか。それは、理想に燃え、未来への期待を常に強く持った青年の情熱であり、青年の情熱から生まれる果敢な行動である。それを結集すべく組織された団体である青年会議所は、その特質である年齢制限制によって、次々と新しい青年がこの団体を背負い、希望に満ちた明るい豊かな社会、正義が行われる理想の社会の実現を心から熱望している。
1949年、戦後の荒廃の中立ち上がった若き青年たちは「新日本の再建は私たち青年の仕事である」として、日本の青年会議所運動をスタートさせた。それは、祖国を愛する青年のやむにやまれぬ情熱が生み出した自然発生的運動である。やがて運動の灯火は伝播し、1958年、加古川青年会議所は、このまちを愛する志高き38名の青年の情熱より設立され、全国で151番目のLOMとなった。我々の運動もまた自然発生的であるがゆえに時代が変わろうとも絶えることがないのである。

 「日本のJC、世界のJCメンバーとして目を遠くに放ちながらも、じっくりと足元を踏みしめながら、郷土の身近な問題を一つ一つとり上げ研究し、解決し、実践していくことが、私どもJCの今後の発展の基盤となるであろうことを信じそれに向かって微力を尽くしたいと思います。」(会報創刊号/初代理事長挨拶文抜粋)

 今を生きる青年である私たちが感じている想いと異なるところがあるでしょうか。我々の組織や活動の形は変化を遂げてきましたが、諸先輩方がこのまちに対する想いの種を撒き続け、次代へ次代へと想いを紡いでこられました。その積み重ねた歴史に我々の誇りと伝統があると考えています。知識や理屈を超えて、人の心を動かすのは情であり、諸先輩方が情と情で結ばれた人間関係を脈々と築いてこられたからこそ、現在にも想いは受け継がれ、我々もまた活動をすることができるのです。この繋がりに心より感謝するとともに、私たち一人ひとりが新たにこのまちに対する想いの種を撒き続けなければならないのです。

 私たち一人ひとりは、組織の一員である前に、それぞれが個性を持った人間です。我々は、単なる人間の集まりではなく、個と個が情と情で結ばれた人間関係を築き、相手を思いやることで何事にも当事者意識を持てる者が集った組織となる必要があります。希薄な人間関係では心は動かず、繋がりも感じられないからです。その上で、知識や理屈をもって組織全体の機能を最もよく引き出せるようにシステム化するべきだと考えています。私たち一人ひとりが志高く自らの役割と責任を自覚し、積極的な意思疎通やコミュニケーションを図ることで、適切で合理的な相互批判ができるようになるとともに、我々もまた衆知を集めて個性を活かし合える一体感のある組織へと発展するのです。また、我々は対外発信力を強化し、このまちにおける存在価値を高め、社会的認知度を向上させる必要があります。ひとづくり・まちづくりの団体として、そしてこのまちの経済を牽引する青年の団体としてブランディングすることで、何よりも大切な家族や会社の支えのもと、私たち一人ひとりが帰属に対する誇りを持ち合わせることができ、それは、私たち一人ひとりがJAYCEEとして対外発信力を強化することにもつながります。

 「多士済々」という言葉があります。優れた能力や才能のある人物がたくさんいるという意味です。私たち一人ひとりは十人十色、生まれも育ちも仕事も違いますが、加古川青年会議所という縁のもとに集まっています。経済人として、個人の自立性と社会の公共性のより強くより高いバランスを求めていく、そんな加古川青年会議所は多士済々であると思います。私たち一人ひとりが、自らの才能を彩ることによって、このまちにふさわしい美しい色をつけていきたいと思っています。
しかしながら、「井の中の蛙大海を知らず」とならぬよう目を遠くへ放たなければなりません。「されど空の高さを知る」という面もありますが、自分の目に見えるものにだけ必要以上に固執すると本質がわからないことがあります。外の世界に触れることで見えるものがあり、多様性を受け止め自分自身を見つめ直すことで、自分自身の芯が磨かれます。私たち一人ひとりが個性を伸ばし、潜在力を顕在化させ、それぞれの存在価値を高めなければなりません。未来を創るのは、他の誰でもなく今を生きる自分自身です。未来への扉を逃げずに開いていくためにすべきことは、過去を踏まえた上で今と真摯に向き合うことです。扉の向こう側は何が起こるか分かりません。分からないからこそ期待と不安がある。お茶の子さいさいの気持ちを持って恐れずに開いていくしか道はないのです。私たち一人ひとりが未知の可能性を切り拓くひととならねばなりません。

超高齢社会に突入したと言われる日本において、出生率の低下は深刻な問題であり、もちろんこのまちにおいても例外ではありません。今後、加速度的に進むと思われる人口の減少は、様々な要因が長期かつ複合的に影響することで生じているものですが、出生率の低下も主な要因の一つでしょう。魅力あるこのまちに、そして日本に、一人でも多くの生命を誕生させるためにも、このまちや日本の未来への期待と帰属に対する誇りを醸成しなければなりません。未来への期待とこのまちや日本に帰属しているということに対して誇りが持てなければ、未来を生きる子どもを生み育てようという意識も持てるはずがありません。今を生きる私たちには、次代へと日本人の心やこのまちの魅力を紡いでいく使命があります。帰属に対する誇りが持てない者に使命が果たせるでしょうか。そういった意味で、出生率の低下は、悠久の歴史の中でその時を生きた人々の経験が織りなした日本人の心を失わせる危険性を孕んでいると言えます。たとえグローバル社会といえども、国際人として私たちに最低限必要とされることは、日本人の心や自分自身のルーツを知り、それらが世界に誇れるものだと認識することだと考えます。
青年会議所における会員の減少についても全く同じようなことが言えるのではないでしょうか。同志が減少している中、入会者数の低下は、我々の存在意義を失わせる危険性を孕んでおり、魅力あるこの団体に一人でも多くの同志を迎え入れるためにも、未来への期待と帰属に対する誇りを醸成しなければなりません。我々には、次代へと我々の想いやこの団体の魅力を紡いでいく使命があります。私たち一人ひとりが、我々の想いやそのルーツを知り、それらがこのまちや日本に誇れるものだと認識することは最低限必要であると思います。諸先輩方や私たち一人ひとりを取り巻く方々と情と情で結ばれた人間関係を築き、加古川青年会議所への帰属に対する誇りある絆づくりをしていかねばなりません。

 我々は、このまちにふさわしい美しい色をつけ、このまちを彩るためにも、まずは郷土の身近な問題を一つ一つとり上げ研究する必要がありますが、その際に、私たちに続く未来を生きる子供たちの力を活かさない手はありません。なぜなら、子供たちの笑顔には夢や希望を生む力があり、子供たちから大人たちが忘れていることを教えられるからです。未来を生きる子供たちが未来への期待を持てるように、次代へとこのまちの魅力を紡ぐためには、次代から夢や希望の糸を引き出し、我々の想いの糸とより合わせなければなりません。そして、物事の解決や実践を図るには、単純な多数決によるべきでないと考えます。治者と被治者の自同性、これは治める人と治められる人に同一性があるという民主主義の基本を表した言葉ですが、政治の舞台のみならず、何事にもそのような関係性が必要ではないでしょうか。物事の解決や実践を図る人は、それによって影響を受ける人が納得できるような、自分を含め縁があって集まったものたちと未来とのつながりを感じて物語を織りなしていくべきです。選ばれた者たちは、言葉では表現できない一体感を生む感動や勇気を与える何かを探っていかなければならないのです。我々も、想いを胸にしっかりと持ちつつ、次代へ紡ぐ未来を彩るまちづくりをしていかなければなりません。

 JAYCEEの一人ひとりに青年会議所の決意、行動理念と目標を明確に表現したものがある。JC運動の理念を示した「JC綱領」である。我々は、今一度唱和し、意志統一して、このまちのために青年の情熱から生まれる果敢な行動を結集しようではないか。もどかしいほどわずかなことなのかもしれないが、日々、新たを積み重ねようではないか。高邁な理想や遠回りのように思えても、振り向いたとき、そこにははっきりとした違いが形になるはずである。我々は、多士済々である。一人ひとりが素晴らしい人財であり、一人ひとりが担うべき役割を持っているはずである。志士の如く想いを胸にしっかりと持ちつつ、彩れ!その才このまち。