2015年度 理事長所信

夢進 ~信頼とともに~

2015年度一般社団法人加古川青年会議所  第57代理事長 大野 恭平2015年度一般社団法人加古川青年会議所  第57代理事長 大野 恭平

2015年度一般社団法人加古川青年会議所
第57代理事長 大野 恭平

 1915年、アメリカ、セントルイスの一人の青年によって、JCIの前身となる、進歩的青年市協会(YMPCA)が設立され、それから100年、この青年の想いは国境や人種を超え、今現在、世界で約16万6000人の同志が集う団体、JCIとして活動を続けています。また、日本においても66年の歴史を持ち、加古川青年会議所も1958年以来、57年目を迎えます。
 この地域を想う諸先輩方による活動の積み重ねと、その運動に対する関係各位のご助力があったからこそ、今日の我々があることに心からの敬意と感謝を忘れてはなりません。歴史と伝統ある青年会議所として、諸先輩方が築いてこられた信頼、脈々と受け継いでこられた伝統をしっかりと受け継ぎ、次の世代に引き継いでいかなければなりません。その信頼と伝統を未来に継承していく最前線にいる変革の能動者たらん我々は、積極的に行動し、挑戦しながら、「明るい豊かな社会」に向かって進んでいかなければならないのです。

 子供の頃、私の生まれ育った商店街が賑わっていたこともあり、どこにいても声をかけてもらい、悪いことをしていたら怒られもした記憶があります。また、怪我をしたときには近所の人がまっさきに病院に運んでくれ、同時に親にも連絡を入れていただき、治療中に親が到着したようなこともありました。私の顔を知り、私をわが子のようにかわいがって下さった地域の皆さんが、地域のイベントや会合を熱心にされていたことも子供心に覚えています。
 このように地域の皆さんに見守られ育てていただいたという経験が、今現在も私自身の根幹にあります。だからこそ、地域が子供を見守り育てていく意識を高めることが重要であり、その積み重ねが次代へつながる地域力になると考えています。

 この地域の近年の投票率を見たとき、50%前後の投票率で我々の代表が決められているということに危機感を持っています。政治家の不祥事等がメディアで報道され、それがおもしろおかしく拡がってしまっていることが多く、このようなことが続く政治に対し、世間は益々政治離れしていくのではないでしょうか。多くの人が、選挙に行っても仕方がないとか、この1票に何の影響があるのかと言われています。しかし、全ての人達に責任があると私は考えています。現状をつくっているのは、私達一人ひとりであるということです。だからこそ、我々は、投票を放棄することを無責任という言葉で片付けるのではなく、その重要性をしっかりと伝えていかなければなりません。
 それとともに、次代を担う子供達に何を伝えなければならないのか。それは、この地域の未来を選択する権利と、その責任を果たすことだと考えています。この地域に住む子供達が大人になっても誇れる笑顔溢れるまちを創らなければなりません。

 「JCは思い出を語る団体ではない。未来を創る団体である。」

 地域の未来を語るためにも、我々自身、己を律し自らを成長させていくことが重要であります。5年先、10年先を見据えたうえで、忘れてはならないのは、そこに向かっている「今」です。「今」をおろそかにしていては何も進みません。日々の積み重ねが大事です。少しさぼるのではなく、少し頑張る。その積み重ねこそが、大きな進歩となります。
 「壁にぶつかったとき、自分で乗り越えなければならない。誰かが乗り越えてくれるわけでもない。逃げていては同じ壁にまたぶつかる。自分でもがき苦しみ、そこから得ることがたくさんある。壁に真正面からぶつかり乗り越えていきたい。」

 「明るい豊かな社会」の実現に向けて、志を同じうする者が相集い力を合わせる。それが青年会議所です。現状はどうでしょう。会員としての自覚が希薄になり、会員の青年会議所への関わり方もあいまいになってはいないでしょうか。自分達の事業で精一杯で、その他のことにまで手が回らず、お互いに協力出来ることを怠ってはいないでしょうか。自分達の事業に対し参加促進をして来てもらったら相手の事業にも参加する。そういった当たり前のことを当たり前にできる組織であるべきです。
 組織として、しっかりと持続させ進んでいくためにも会員拡大は重要な課題です。会員拡大の成果は、我々の運動に対する社会評価そのものであり、我々の活動の最もわかりやすい成果であるといえます。我々はJCという組織に誇りをもっているでしょうか。自信をもってJC運動を語れるでしょうか。JC運動に可能性や価値を感じているでしょうか。我々自身が帰属する組織に誇りを持たなければ、いくら勧誘を行っても拡大はできません。青年会議所に属する全ての人が、その背中を見られているという自覚を持って活動することが必要ではないでしょうか。

 兵庫ブロック協議会主催の第48回ブロック大会を、加古川青年会議所が32年ぶりに主管させていただきます。1968年、県下全会員が集い、資質向上を目的とした年に1度の合同例会という意味合いで開催された会員大会。これまで、兵庫ブロック協議会に多くの出向者を輩出してきた加古川青年会議所として、精一杯のおもてなしの心を持って、兵庫県下にこの地域の素晴らしさをPRし、また、県内の魅力が集まり、賑わい溢れる大会となるよう兵庫ブロック協議会としっかり連携し、変革の能動者として新たな観点から、本大会の成功に向けて邁進していきます。

 我々には、メンバー同士の信頼、先輩との信頼、各地青年会議所との信頼、各種団体との信頼、地域との信頼など、様々な信頼関係が必要です。お互いに感謝したり、協力したり、本気で語りあったりと、双方向でしっかりと理解しあい認めあうことで、信頼関係を築いていくことが重要です。
 まちづくり運動を展開する上で、我々の理念、理想を発信するのは当然のことですが、我々だけでよりよい社会を創造することはできません。我々の独りよがりでは、本当の「明るい豊かな社会」を創り上げることはできないのです。だからこそ、それぞれの点と点とを結び、線となれるようお互いのネットワークを活かし、連携を図りながら協働していくことが深く強固な信頼につながります。

一人の青年の想いが国境を超え、一世紀かけて拡がった2015年、「夢」に向かって進んでいく、覚悟を持った運動・活動を、信頼とともに。