2020年度理事長所信

先駆開拓 未来を見据えたまちづくり先駆開拓 未来を見据えたまちづくり
2020年度一般財団法人加古川青年会議所 第62代理事長 岡田陽平2020年度一般財団法人加古川青年会議所 第62代理事長 岡田陽平

2020年度一般社団法人加古川青年会議所
第62代理事長 岡田 陽平

はじめに

 加古川青年会議所は1958年(昭和33年)に、38名の志溢れる青年たちにより産声をあげました。諸先輩方のたゆまぬ努力により、その熱い想いは脈々と受け継がれ、この地域の発展に寄与してきました。青年会議所運動が最大となった「平成」というひとつの時代が終わり、更なる進化が必要とされる新しい時代「令和」となり、加古川青年会議所は62年目を迎えようとしています。過去から紡いできた想いをしっかりと受け止め、新しい時代を切り開いていくことが、私たち青年会議所メンバーの使命です。
 国際情勢の変化、少子高齢化、通信網やAI技術の発達等により、国民を取り巻く環境や価値観が加速度的に変化し、私たちの暮らすこの地域においても、新たな発展の方向性を決定する岐路に立っています。このような時代の転換期に生きている私たちだ からこそ、未来を見据えながら、失敗を恐れず青年らしく行動力をもって、新たな取り組みにチャレンジし続けなければなりません。
 加古川青年会議所は、ツーデーマーチ、レガッタ、青少年育成事業、公開討論会等、多くの事業を実施し、地域の先陣をきって、市民の意識変革という まちづくりの本質的な改革をもたらしてきました。そして、近年は活動の幅が広がり、様々な公益事業を数多く打ち出すようになり、徐々に青年会議所が認知されるようになってきました。
 数ある団体の中で、私たち青年会議所でしか成しえないことは、目まぐるしく変化する社会の情勢を的確にとらえながら、普遍的で本質的なまちづくりをすることです。青年経済人として常に時代の先を読み、未来に向けていま何をすべきかを考えながら、明るい豊かな社会の実現に向け活動していきましょう。

 

 

結束力の高い価値ある組織づくり

 青年会議所には様々な会議や事業があり、組織を効果的に運営するための様々な役職や役割があります。メンバー全員が同じ熱量で活動することができれば、その力はどの団体にも負けることはないでしょう。改めて、与えられた役割を明確化することで、各々が当事者意識をもち、目標達成に向けて活動意識を高め、多面的な活動を行いましょう。また、青年会議所の会議運営や物事の決定は、定款に定められている通りに厳正に執り行われています。コミュニケーションツールが発達し多様化する中でも、厳格である部分と、スマートでなくとも、ひとの心に迫る部分の両方を大事にしていくことが、相互理解を深め、組織の結束力を高めることに繋がります。時代に合ったツールの使用を模索し、スムーズな組織運営を目指しながらも、人と人との繋がりを大切にしていきましょう。
 また、インターネットを介した情報網の発達により、ともすれば個人がマスメディアと同等の発信力をもつようになりました。私たちが日常受け取る情報量が急増し、その中から価値ある情報を取捨選択することが重要な時代となっています。しかし、広報媒体が多様化しても、その目的は発信者と受信者の相互理解であることに変わりはありません。私たちの運動や活動の目的をわかりやすく伝え、それが有益な情報だと認識していただくことで、より多くの方から理解を得ることができるでしょう。また、受け取る対象に合わせた最適な媒体を用いて、発信方法を管理しながら、メンバー全員が記者となり、活動を幅広く伝えていきましょう。それが私たちの存在価値をさらに高め、加古川青年会議所のブランディングに繋がります。
 そして、私たちには世界に繋がる青年会議所のネットワークがあります。青年会議所のもつスケールメリットを活かし広い世界を体感することで、視野を広げ、日頃の活動を見直すとともに、自分自身の新たな可能性を感じることができます。また、出向は最大の学びの場であり、全国や世界の多くの仲間との出会いは、価値観や人生までも変える可能性を秘めています。そして、LOMを代表して活躍しているメンバーが、外部で得た学びをフィードバックできるよう支援をすることは、多くの気付きを得ることに繋がります。さらに、志を同じくする仲間である近隣LOMと連携し、切磋琢磨しながら絆を深めることは、共に助け合いながら地域で活動する私たちにとっての財産になります。提供された機会に自発的に参加し、その経験をきっかけにメンバー一人ひとりが成長することがLOMの活性化に繋がります。

 

 

時代に求められるひとづくり

 AIやロボットの技術が発達し、IOTや自動化が進む中、私たちの働き方に変化の兆しが見えはじめています。10年後、20年後にはAIやロボットにとって代わられ、消えてしまうであろう仕事も少なくありません。そのような時代に地域のオピニオンリーダーとして大切なことは、危機感をもって社会情勢を先読みし、新たな取り組みを行うことです。そのためには、これから普及する新しい技術を正しく理解しながら、人間でしかできない能力を伸ばすことが重要であると認識しましょう。どんなに発達したAIにもできないことがあります。それは目的をもって新たな価値を創造する経営力、そして人の気持ちを汲み取る人間力です。この2つのスキルを伸ばすことこそが、先の時代に生き残ることのできる人材となると考えます。時代の転換期にこのまちの明るい未来を創らなければならない責任を自覚し、新しい視野と対人折衝能力をもった青年経済人を目指しましょう。
 また、全国的に青年会議所の会員の減少が叫ばれている中、加古川青年会議所もピーク時で158名いたメンバーも半減しています。このまちを良くしようと考えるメンバーが一人でも増えることは、直接的なまちづくりに繋がります。ひとはまちを創り、まちはひとを創ります。ひとりでも多くの同志を増やすことが、ひとづくり、まちづくりを行う私たちにとって最大の手法であり、大切な使命です。そのために、メンバー全員が意欲をもって会員拡大活動に励むことのできる体制を構築するとともに、地域の様々な青年と交流する機会を設け、私たちの活動を理解していただくことで、地域を牽引する新たなオピニオンリーダーへと導きましょう。
 そして、私たちの活動は、多くの方々に支えられていることを忘れてはいけません。そのことに一人ひとりが常に感謝の気持ちをもちながら、交流の機会を創造することで、より深い関係性を築いていきましょう。多くの団体や地域の方々と出会い、理解し合い、連携し、協働に繋げることは、組織だけではなく個人の価値を高めていくことと認識しましょう。

 

 

未来を見据えたまちづくり

 この国は様々な問題を抱えていますが、そのひとつに、急速な国際化が引き起こした歪みが挙げられます。訪日外国人数はこの10年で3倍となり、2020年は東京オリンピックが開催されることで、さらに多くの観光客が日本に訪れます。そのような中、多くの日本人が自国の歴史や文化に無知なことを認識していません。訪日外国人数の増加により、今後ますます多くの外国人と接する機会が増えますが、このままでは将来の日本の国際的信用力の低下を招くことになりかねません。
 また、2020年は戦後75年を迎えます。現代の子供たちは、私たちの世代のように、祖父や祖母からどのような想いで戦時中を過ごしたのかを直接聞くことはできません。さらに、最新の技術や海外の言語等を勉強する必要性が高まる中で、日本の歴史や伝統を学校教育だけでは学びきれないのが現状です。
 そして、まちの将来を決定する政治に興味をもつ若者が少ないことも課題です。選挙権が18歳以上に引き下げられましたが、まだまだ若者の投票率は低い現状にあります。政治は将来を生きる若者を主役に据えて執り行われるべきだと考えます。若年層の主権者としての意識の向上は、持続可能な社会の実現に必要不可欠です。
 さらに、日本における少子化は依然として歯止めがかかっておらず、もはや対策は不可能とまで言われることがあります。少子化と過疎化の影響により、自治体の運営を維持することが困難となり、消滅する可能性があるといわれる地域が多くあります。このような日本の様々な問題を地域の課題としてとらえ、目を背けず、解決に向けて行動することが私たちの使命です。
 この地域においても、様々な国からの外国人観光客や外国人労働者が増えつつあります。誰もが活躍できる地域であるために、インバウンド対策や外国人への理解が必要です。いまある地域の資源の有効活用と新しい資源の発掘の両面からアプローチするとともに、行政と協働し、継続事業を発展させながら、私たちの地域のもつ魅力をさらに高めましょう。さらに、広い視野をもち、異文化を理解する機会を設けることで、異なる文化をもった人々と共に生きていく資質や能力を養いましょう。
 また、新たな時代を築いていく子供たちは、人間として、日本人としてどうあるべきかという基礎を身に付けなければなりません。子供たちが真の国際人として成長するために、自国の確かな歴史や伝統文化を理解してもらい、日本人として、個人としての自己を確立させましょう。そして、国や地域の未来について関心をもってもらうことで、投票率を上げるだけでなく、政治参画の意識を向上させましょう。
 さらに、少子化問題に対して真摯に向き合い、少子化対策の様々な事例を調査、研究し、効果的な手法を模索しながら、子供を産み育てることが幸せに感じることのできる多子社会を創りましょう。
 一朝一夕で解決できるものではありませんが、私たち青年会議所として、何ができるかを考え、一石を投じることが、持続可能な社会の実現に向けた第一歩となります。

 

 

Boys,be ambitious.~青年よ、大志をいだけ~

 青年会議所活動は20歳から40歳までしかできません。同じ志をもった仲間と共に、限られた時間を全力で駆け抜けましょう。既成の枠にとらわれず、絶えず開拓と創造に挑戦し続ける姿にこの地域の未来があります。青年として大きな夢を抱き挑戦するには、時代の転換期であるいまが絶好の機会です。そして、新しい視野をもちながら、ひとのこころを大切にする調和のとれた青年経済人となり、愛すべきこの地域を照らしましょう。明るい豊かな社会を目指して。