2021年度理事長所信

共創~価値のある新たな時代へ~共創~価値のある新たな時代へ~
2021年度一般財団法人加古川青年会議所 第63代理事長 原田哲2021年度一般財団法人加古川青年会議所 第63代理事長 原田哲

2021年度一般社団法人加古川青年会議所
第63代理事長 原田 哲

はじめに

 加古川青年会議所は高度経済成長期である1958年に、38名のこのまちを想う青年たちにより、日本で151番目の青年会議所として設立されました。今日に至るまで62年の歴史を紡ぎ、私たちのまちをより良くするために、多くの諸先輩方の手によって様々な運動を行ってきました。その運動の1つが会員拡大であり、1992年には158名の会員数まで拡大し、このまちへ運動をし続けてきました。令和がスタートした現代においても、私たちの魅力を上げ、ブランディングすることでファンを増やし、今まで以上に運動をし続けなくてはなりません。そのためには、新たな同志を募る会員拡大と、内なる同志の士気向上を図る組織活性化を両輪と見立て、運動を力強く進めていきます。まちを良くするために、このまちの未来を想い、行動を起こそうとする青年が一人でも増え、新たな同志となり、継続的に運動を続けていくことと同時に、内なる同志の心にある火を大きくし、今よりさらに強力な運動へ深化することが必要です。2年後に迫った65周年、その先の70周年に向けて、今一度、組織固めを行い、両輪を加古川青年会議所運動の根幹と位置付け、このまちへの運動が大きく飛躍する1年に致します。
 昨年は新型コロナウイルスが世界中で蔓延し、私たちのまちも甚大な被害に見舞われました。まちから人や明かりが消え、活力が無くなり、ソーシャルディスタンスを含む「新しい生活様式」が求められ、今までの価値観が通用しない世界へと変化しました。今からの不安材料、懸念事項をあげれば枚挙にいとまは無く、多くの方々が様々な状況下で明日を憂いながら日々を過ごしています。しかし、そんな時だからこそ、私たち青年経済人は英知と勇気と情熱をもって、まちの未来のために活動しなければなりません。変化を恐れず、時代に即した手法を模索し、新たな価値を創造していきましょう。
 加古川青年会議所は、20歳から40歳までの人生でエネルギーに満ち溢れた年代の青年経済人が集まり構成されています。夢と希望に溢れたメンバーの力は、幾重にも重なりまちを動かし続けます。青年会議所の可能性を信じ、「何事も成し遂げる」という確固たる意志をもち、情熱をもって活動することで、共に新たな時代を創っていきましょう。

 

 

しなやかな組織の構築とブランディングの推進

 私たちがまちに必要とされ続けるためには、まちの課題を確固たる信念に基づいて議論し、英知を集め、最善の手法を探り続けなければなりません。青年会議所はその名の通り、会議を行う団体であり、組織の基盤を構築し、盤石な組織運営を行い、熱く建設的な議論の場を設える必要があります。
 「with/afterコロナ」という新たな概念が生まれ、新しい生活様式が提唱される中、限られた時間で開催される会議も効果的に行うことで効率化するとともに、必要に応じて新たな手法を取り入れましょう。そして、定款や諸規定に準拠した運営を行い、健全な財務体制の確立とコンプライアンスの徹底を図り、連綿と積み上げられてきた団体の信頼を維持し、伝統を守りながらも、時代の変化に応じて改正も視野に入れることで、柔軟かつ芯のある、しなやかな組織を構築しましょう。また、人と人の関係性は、システマティックな手法だけではなく、直接的なコミュニケーションを合わせることで構築することができます。人間味を守り、効率的な手法を探りながら取り入れ、変革を遂げましょう。
 また、現代社会ではデジタルメディアが発達し高度な情報化と情報発信の多様化から、既存の発信手段は瞬く間に陳腐化し、届けるべき相手に的確な情報を届けることが出来なくなる恐れがあります。加古川青年会議所のブランディングを推進するためには、最善の広報戦略が必要です。
 なぜ私たちはブランディングを推し進める必要があるのでしょうか。それは、私たちの団体のブランドが確立されることで、そのブランドから波及する運動がさらに効果的に拡がるからです。私たちは自らの強みや魅力といったブランド力を再認識し、「誰に何をどのように伝えるのか」を考え、計画的にブランディングを実行しなければなりません。これまでの手法にとらわれず、新たな時代に即した手法を考え実践し、発信していきましょう。そうすることにより、内外の存在価値が向上し、加古川青年会議所のブランドが確立されます。
 さらに、ブランド力の向上は、会員拡大活動にも大きな助けとなります。ブランド力の向上を図り、私たちが楽しく生き生きと活動する姿を伝え、新たな同志の興味を引くことで、好循環を生んでいきましょう。

 

 

和を重んじる絆づくり

 私たちの運動と活動は、多くの方々から支えられていることを忘れてはなりません。今後さらなる発展を遂げるために、まちへの想いを具現化できる環境に感謝するとともに、支えてくださっている多くの方々に謝意を伝え、ご理解をいただく必要があります。
 そのためには、特に3つの「和」の継続が無くてはなりません。共に歩むまちの方々との「和」、今まで歴史を紡いでこられた諸先輩方との「和」、いつも支えてくれる家族との「和」。私たちの運動や活動を力強く、そして広く波及させるために、深い感謝の意を示すとともに、一つひとつの「和」を大切にし、新たな運動の糧となるよう親睦を深めましょう。そして、私たちの想いを理解していただくことで協力体制を構築し、強く大きな「和」へと拡げていきましょう。
 また、私たちの組織は、全世界に繋がっており、様々な学びの機会があります。メンバーはその機会を有効活用し、外の世界にふれ、知見と視野を広め、自己研鑽に励む必要があります。
 組織の活性化のためには、メンバーが学びの機会を最大限に活用し、自己の成長に繋げ、組織にフィードバックすることで、学びの循環を生まなければなりません。私たちの学びの機会の1つに出向というシステムがあり、私たちの活動地域だけに留まらず、広域的な考え方や仲間との絆を得て、成長することが出来ます。その成長が組織の新しい風となり、文化を形成し、持続可能な団体へと進化させます。感謝と労いの気持ちをもって支援し、組織の活性化を促しましょう。
 また、日本国内及び世界で開催される各種大会は、青年会議所の最大の特徴であり、これらの各種大会への参加は、スケールメリットを伴った大きな学びの機会になります。私たちの活動地域だけの課題解決に留まらず、世界の課題を学びながら切磋琢磨し、メンバーが主体的に動くことで、さらなる組織活性化を図りましょう。

 

 

地域を牽引する人財の発掘

 諸先輩方が紡いでこられた62年の歴史の中で、途切れることが無く、継続してきた唯一の事業が会員拡大です。私たちが住むまちや地域に関心をもってもらい、地域のことやそこに住む子どもたちの未来のために行動してくれる仲間を一人でも多く増やしていくことが必要です。
 まちを良くするためには、会員拡大の成功は必須条件であり、同じ志をもった青年を一人でも増やさなければなりません。「数は力」という言葉もある通り、会員の数は価値ある組織を生み、幅広く厚みのある運動につながります。多くの会員が在籍することで化学反応が起き、新しいアイデアが生まれ、組織が活性化します。そうすることで私たちの魅力が高まり、未来の同志の心に響き、新たな志高き青年が、加古川青年会議所の扉を叩くことでしょう。私たちが地域社会を牽引し地域に貢献していくためには、ビジョンとなる中長期的な計画を立て、メンバーと共に実行することで、持続可能な会員拡大を推進し、私たちの想いに共感する多くの同志を迎え入れましょう。
 同時に、日本の青年会議所の問題点として、女性比率の低さ、平均在籍年数の短さ、平均年齢の高齢化等が挙げられます。加古川青年会議所においても同様であり、多角的に物事を捉え議論できる組織となるため、未来に向けて取り組んでいかなければなりません。地域で活躍できる人財を輩出し続けるために環境整備を進め、多様性のある組織を創りましょう。
 また、私たちはそれぞれが一人の青年経済人としての責務があり、青年会議所で得たスキルを存分に発揮するべきです。多様な青年経済人が集まる団体だからこそ、資質を向上させる最適な場であり、互いに高め合う必要があります。
 青年経済人はどのような立場であれ、時に困難な状況に直面することがあります。人の真価は逆境の時にこそ発揮されます。困難な状況に打ち勝つために、真正面から立ち向かう勇気をもった人間力と、リーダーシップを発揮することが出来る経営力を伸ばしましょう。そうすることで、今まで見過ごしていたことに気付き、立ち止まって己を見つめ直すことで素晴らしいアイデアが生まれ、困難な状況に打ち勝つことが出来るのです。私たちは、地域のリーダーであることを自覚し、勇ましさの中にも慎重さをもって行動し、いかなる時でもリーダーシップを示せるよう、自己修練に邁進していきましょう。

 

 

魅力溢れる持続可能なまちづくり

 私たちのまちは、南には播磨灘の豊かな海と鉄鋼産業、北には高御位山をはじめ山の恵みと田園、西には一級河川である加古川、そして東には農業を支える多くのため池があり、私たちのまちの発展に寄与してきました。そのような自然の恵みを元に、様々な産業や特産品が生まれました。また、神戸市と姫路市に挟まれた立地条件から、交通の便も良く、ベッドタウンとして栄えてきましたが、両市の中間地点のために、「通過するまち」という一面もあります。
 持続可能なまちづくりを進めるためには、「通過するまち」から「向かうまち」へと変貌を遂げなければなりません。今あるまちの資源を活用し、時代に即した新たな価値を加え、今までにない新たな魅力を創造しましょう。それには私たちだけの力ではなく、他団体を含むまちの方々と共に創り上げていかなければなりません。独りよがりではなく、他団体と協力することで、より大きな影響を与えることが出来ます。後世に残る事業の起点を創り、持続可能なまちづくりを推進しましょう。
 また、近年はインターネットの発達とともに技術革新が起こり、欲しいものや情報は何でもすぐに手に入る世の中になりました。一方では、便利さと引き換えに人間関係の希薄化や地域コミュニティ意識の衰退等による青少年の育ちを巡る環境が変化し、運動能力の低下による意欲減退も一因となり、天真爛漫さといった子どもらしさが薄れつつあります。
 青少年の健全な育成のためには、自然の中で育まれた豊かな感性と、他者とのコミュニケーションを通して養われる想いやる心が必要です。今も昔も子どもたちは無限の可能性を秘めているまちの宝であり、青少年期の成長の過程で、私たち大人が子どもたちの可能性を広げ、未来の選択肢を増やさなければなりません。自然に囲まれた環境に身を置き五感を働かせ、自然に沸き起こる自由な発想と、誰とでも打ち解ける適応力を伸ばすことが、無限の可能性を生みます。その可能性に挑戦するために必要となる力の育成は、私たち青年の使命です。子どもらしさを守り、無限の可能性を引き出すことで、青少年の健全な育成をしていきましょう。

 

 

むすびに

 私たちは、JC宣言文において「率先して行動すること」を宣言してきました。「誰かがやるだろう」や、「私には関係ない」ではなく、まちの潜在的な問題点を課題と捉え、解決策を見出し、行動に移していく。そのようなプロセスにおいて奉仕の心が生まれ、修練と向き合い、友情が芽生える、それこそが青年会議所です。
 今、私たちが起こしている運動も、時代の流れからすると、ほんの些細なことかもしれません。しかし、その些細なことも、誰かがし続けることに価値があり、そうすることで未来を変えることが出来ます。一人で成せることは限られていますが、皆で情熱をもって取り組むことで、不可能を可能に変えることが出来ます。そして、メンバー一丸となり、共に価値のある時代を創り、明るい豊かな社会の実現へ邁進しましょう。