2024年度理事長所信
2024年度一般社団法人加古川青年会議所
第66代理事長 中川 誠貴
はじめに
青年会議所が行う運動がメンバーの成長や、まちへもたらす効果を具体的に説明することは難しい。自身の成長やまちをより良くするための団体であるのは理解しているが、これだけ膨大な労力と時間を費やして本当により良くなっているのだろうか。今も会員の減少や衰退が止まらない地域が多く存在することも事実としてある。
なぜ加古川青年会議所は65年という長きにわたって、形を変えながら、まちに存在しているのか。
そこには理由がある。
私は加古川青年会議所に2015年に入会しました。当時多くの友人に私はこのように言われ戸惑いました。「JCは金持ちの集まりで、ずっと飲んでいるだけ。2代目や3代目のサロンのような感じだから、誠貴みたいにぽっと出の創業者が続けていくのは難しいから辞めたほうがいいんじゃない。」
その年に第48回兵庫ブロック大会加古川大会が開催されました。その大会のフィナーレで卒業される先輩諸兄姉がステージで泣きながら肩を組み大合唱をしていました。
「もうすぐ今日が終わる やり残したことはないかい 親友と語り合ったかい 燃えるような恋をしたかい 一生忘れないような出来事に出会えたかい かけがえのない時間を胸に刻み込んだかい」
私が9年間の長きにわたり、青年会議所活動に時間と労力を費やすことができた答えがその瞬間にありました。今もなお青年会議所が存在し続ける理由、それは、青年会議所が人間力に裏打ちされた次世代のリーダーを輩出し、民間、市政にとらわれず自らの強い意思と行動力で運動を展開し続けることが出来る唯一の団体であるからです。加古川青年会議所で過ごした体験により、私自身をひととして大きく成長させ、その経験を通じて青年会議所運動の大切さを実感することができました。
そして青年会議所活動で出会った全てのひとたちが、友情というかけがえのない絆を私にもたらせてくれました。だからこそ、私はあなたと共に幸せの涙を流し、友情を育みたい。そして他者の人生にImpactを起こせるそんなひとに共になろう。
JC運動とは
一般社団法人加古川青年会議所は全国で151番目の青年会議所として、1958年に38名の加古川のまちを思う青年たちにより設立されました。私たちは常に理想の社会を追い求め、「明るい豊かな社会の実現」に向け、時代の荒波が押し寄せてきても、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大の脅威にさらされようとも、確固たる組織体として、会議を重ね、組織変革を行い、時代を先駆ける様々な運動を展開してまいりました。
加古川青年会議所は様々な地域課題を解決し続けている団体であると私は胸を張って言えます。なぜなら私たちは日々、仕事と家庭の時間とは別に、青年会議所運動に多くの時間をかけ、まちの未来や未来を創る子どもたちのために、より良いまちづくりに挑み続けているからです。それだけ存在価値のある組織体という信念をもっています。青年会議所は、20歳から40歳までの品格ある青年であれば個人の意志によって自由に入会できます。これは青年会議所が、青年の真摯な情熱を結集し社会貢献することを目的に組織された青年のための団体であるからです。そして、集まった青年たちがより効果的に青年会議所運動を行うためには、メンバー相互の絆が強く結ばれ、さらに魅力溢れる団体へと進化し続けなければなりません。全てのメンバーに青年会議所の意義や魅力を広く伝播し、青年会議所運動への主体的な参加を促すことで、心から信頼し合える関係性を構築し、組織力をより強固にします。友情を深めながら意思統一を行うこと、私たちだからこそできる学びを追求すること、誰もが活躍できる社会の実現を目指すこと、そして、まちの課題を見出し解決することにつながる例会や事業を創造していきます。例会や事業に参加し、運営に携わることでメンバーの指導力開発を行い、リーダーとしての資質を高め、次代を担う人財への成長につなげていきます。それにより、これからの1市2町のまちの発展、メンバーの人生や社業の発展につなげていきます。
JCの魅力発信グループ
私たちの同志を増やす会員拡大活動は、まちづくり運動を実りあるものにするために必要不可欠です。会員の減少は、私たちの運動・発信力の低下につながり、持続可能な社会の実現に向けて運動を展開していくことが難しくなります。メンバー一人ひとりが会員拡大の目的を理解し、組織全体で意識を高めることが、持続的な会員拡大へとつながります。私たちがまちづくり運動の最前線に立ち、地域への想いを共にし、行動する仲間を一人でも多く迎え入れ続けることが必要です。
また、会員拡大活動を行うにあたり、私たちのまちに対する運動・活動をタイムリーに発信する認知向上のための広報、そしてファンづくりのための広報も必要になります。広報なくして会員拡大の仕組みづくりは叶いません。SNSの発達・浸透により情報は世の中に無数に溢れています。多くの方々の目に留まるためには、ただ情報を発信するだけではなく、私たちの想いをわかりやすく伝える戦略的な広報活動が重要です。柔軟に市民のニーズに合った様々な形の広報を受動的能動的問わず、改めて検討する必要があります。
理想の会員拡大活動は、私たちの活動を知ってもらい、理解と共感を得て、共に活動し たいといった想いが生まれ、入会へと導くことです。今、加古川青年会議所のメンバー数は減少傾向にあります。会員拡大活動を成功させることは、当会が維持・発展し、地域に必要とされる組織として存在し続けることになります。その結果、私たちの活動や運動が永続的に続き、明るい豊かなまちの構築につながると確信しています。メンバーそれぞれが主体的に行動を起こすことでまだ見ぬ同志を発掘し、持続可能な組織を構築してまいりましょう。
地域の人財育成グループ
様々な価値観をもったメンバー同士が切磋琢磨し、多くの学びを受ける機会に恵まれている青年会議所は「人生最後の学び舎」とも呼ばれています。人は「おもしろい」と感じられるものに心を動かされます。そして、課題に対して目的を一つひとつ明確にしていくことで、物事の本質にたどり着くことができます。課題を掘り下げる際は、偏った考えで行うのではなく、広い視野をもって行うことが大切です。ジャンルにとらわれず、様々な知識を学び続け吸収していけば、自然と自らの視野が広がっていくことが実感できるようになります。広い視野で物事を捉え、的確に判断することができるリーダーが必要不可欠です。私たち一人ひとりが、今こそ成長し、リーダーとして必要なものを共に考え、共に学び、地域を牽引するリーダーを育成しなければなりません。また、青年会議所には様々なプログラムが用意されています。青年会議所のネットワークを活用した継続的な研修・教育プログラムの受講を促し、各々が認識しているまちづくり運動・青年会議所運動の基礎力を磨き、価値観を共有・共感することで、加古川青年会議所の底上げを図りましょう。
2024年に加古川青年会議所は創立から66年を迎えますが、今、メンバー全員が先輩諸兄姉や地域住民、家族に対して感謝の想いをもち、その想いは届いているでしょうか。メンバー全員が一致団結して青年会議所活動ができているでしょうか。加古川青年会議所がいま活動できるのは、長きにわたり先輩諸兄姉が築き上げてきた歴史と信頼、そして地域の方々とのつながりや歩み、家族の支えがあるからにほかなりません。私たちは脈々と受け継がれてきた想いを胸に、地域のために行動し続ける必要があります。
今一度、歴史が積み重ねた信頼と、地域の方々とのつながりが築かれてきた経緯、家族から頂く無償の愛、これらを当たり前のものとすることなく、先輩諸兄姉、地域の様々な団体との連携、家族間交流を強化し、つながりをより確かなものとすることで、このまちに本当に必要とされる加古川青年会議所となるべく、強固な組織づくりを行いましょう。
組織力向上グループ
組織運営は、青年会議所が社会のために存続していく上での重要な役割があります。時代に即した組織運営のためには、クリエイティブな視点による柔軟な運営とともに、必要に応じて今までの進め方を見直すことは重要な要素となります。時代の先を行く知識をもち、多角的な視点と持続可能性を掛け合わせた組織運営を戦略的に展開することで、成果の高い事業を生み続けることができると考えます。いずれはAIが議案をチェックし、ロボットが議事録をとることになるかもしれません。加古川青年会議所がますます地域から必要とされる組織となるため、また自分の所属する組織にも還元できるように、私たちは意識改革・行動変革を起こし、未来を想像し、積極的に挑戦していきましょう。今までの進め方にこだわることなく、従来の手法への理解とより効率的な新たな手法への挑戦、その両面から生まれるしなやかな組織運営をすることで、より効果的な運動を構築していきましょう。
地域を巻き込む力強い運動を発信するためには、青年会議所の対内外に関わらず友情を育むことで団結力を高めなければなりません。加古川青年会議所が長きにわたり友情を深めてきた梧棲国際青年商会が2024年に創立30周年を迎えます。異文化交流を通じて海外のメンバーと意見を交わすことで自らの知見を深めるとともに、国際の機会を存分に楽しみ、新たな友情を育みましょう。また、本年度も多くのメンバーが様々な役職で出向します。出向の場は一生を共にする仲間づくりができ、メンバーがより大きく自己成長できる場です。そして、出向者は、多くの機会に全力で挑戦し、学び、そこで得た経験、知識、文化、人脈を愛するメンバーの元へと持ち帰らなければなりません。輩出LOMとして全力でサポートをすることはもちろんのこと、出向先で得た貴重な経験や知識を余すことなく共有することで、メンバー全体の成長につなげ、加古川青年会議所の力をさらに押し上げていきましょう。
地域の未来創造グループ
加古川青年会議所は時代に即した課題と向き合い、それらに適応した魅力的な運動を続けてきました。今を生きる私たちもまた、当たり前であった日常が当たり前ではなくなり、様々な問題を抱えて生活しています。明るい豊かな社会を築き上げるために心を奮い立たせ、このまちのためにより良い変化を起こせるメンバーや、一人でも多くの地域住民と新しい未来を共に創りあげることで、より活気に溢れた魅力あるまちづくりができると考えています。私たちが多くの時間や労力を使って地域のために事業を行っても、地域住民の参加や賛同が得られなければ、意味がありません。そのためには、今の地域の課題や状況を的確に捉え、事業構築することが必要だと考えます。社会実験団体として、経済だけではなくこのまちの歴史やカルチャーにも注視しながら、明るい豊かな社会の実現に向け、地域の方々と共に参画し、魅力ある運動を作り上げる過程を通じ共創意識を育みます。そして、地域のリーダーを有する加古川青年会議所に共感が寄せられ、地域の方々と共に未来を創るまちづくりに挑戦していきましょう。
また、いつの時代も子どもたちは未来につながる架け橋です。そんな未来を担う子どもたちは、社会のグローバル化や急速な情報化、技術革新が目覚ましい変化の時代に対応すると同時に、いつ襲いかかってくるかわからない大雨や地震等による大規模な自然災害など、未曾有の事態が多く発生する当たり前が当たり前ではない世の中を、生き抜いていかなければなりません。そして、旅行をする、自然に触れるなど、誰かにとっての当たり前を体験することが難しい子どもたちがいます。このまちでも体験格差が問題になっていると感じています。また、自分の家庭以外の大人と関わることは、子どもたちが自身のロールモデルを構築する上で非常に重要な要素であると考えます。青少年時期に体験活動(自然体験、社会体験、文化的体験)の機会を多く提供し、自らの力で考え、判断し、責任をもって行動する力をもつ青少年を育成することが必要です。子どもたちが主体的に取り組み、正しい知識と行動力を身につけると同時に、他者への思いやりや優しさ、いのちの大切さを学ぶ機会を提供しましょう。そして、この地域に自らの力で未来を切り拓く、生きる力を育んだ人財を増やすことで、明るい未来を創造していきましょう。
結びに
新型コロナウイルスが引き起こしたパンデミック、2022年に起きたロシアによるウクライナ侵攻、台湾と中華人民共和国の問題、過度な円安など、私たちが経験したことのない出来事が次々と起こり、社会の様相は一変してしまいました。
「昔とは違う。こんな時代にJCなんかをやっている暇はない。」
そのような言葉を聞いたことがあります。そしてその言葉を聞き流している自分がいました。
そんな言葉に対してぶれずに真っ直ぐ悔しいと書いた先輩がいました。
「JCは国や故郷がピンチの時には立ち上がり誰よりも先に動き出し、家族や社員を守りながら前を向き続けた70年は噓じゃない。私たちの力はこんなもんじゃない。大丈夫。あなたもJCもこれからだ。」
青年会議所活動や運動は見えにくいと同時にとても伝えにくいです。
それは青年会議所が究極の体験型であるからです。
明るい豊かな社会の実現というJAYCEEの理想に対して、自らの行う青年会議所活動や運動が本当につながっているのか疑問に思い、心が離れてしまうこともあるでしょう。離れてもいいので必ず戻って来てください。
「おまえらの夢の過程をすぐ側でこうして見届けられる俺は何と幸せ者だろうかと思う。そして夢の達成の瞬間をこの目でみてやる。この世は俺たちが理解する以上に栄光に満ちている。」これはROOKIESという漫画で登場する川藤先生が言った一文です。私は理事長としてメンバーが作成した事業計画書、夢を最前列で見ることができます。そのことに深い喜びと責任を感じています。そしてその夢の達成の瞬間をこの目に焼き付けたいと思っています。改めてメンバーに言いたい。この世は俺たちが理解する以上に栄光に満ちている。
あなたが過ごすこれからのJAYCEEとしての年月は、必ずやあなたとあなたの大切な人の琴線に触れ、成長と発展する機会を提供できます。
ここまで育てていただいた全ての方への感謝と脈々と受け継がれた熱き想いを胸に、かけがえのない絆を力にかえて、このまちにより良いImpactを起すことで、素晴らしい未来を創ることを皆様にお約束いたします。