2025年度理事長所信

共創~価値のある新たな時代へ~共創~価値のある新たな時代へ~
2021年度一般財団法人加古川青年会議所 第63代理事長 原田哲2021年度一般財団法人加古川青年会議所 第63代理事長 原田哲

2025年度一般社団法人加古川青年会議所
第67代理事長 六田 翔

はじめに

 「前人木を植え、後人涼を得る」という言葉があります。これは私がJCに入ってからよく聞く言葉です。次世代の方が活動しやすい、住みやすいまちにするため、先輩方が汗を流して努力してきた結果、今のまちやJCがあると考えます。改めて、その功績に敬意と感謝の意を表します。しかしながら、変化し続ける社会においては、様々な課題が新たに生まれてきます。技術の発展に伴い、私たちを取り巻く環境も急速に変化しています。私たちは前人が植えた木の下で涼を楽しむだけでなく、後人のために種を撒き続けなければなりません。次世代の未来を私たちが先導し、共に輝く地域を創ることが、明るい豊かな地域社会の実現につながると信じています。

 

 

私たちの運動

 「新日本の再建は青年の仕事である」第二次世界大戦後間もない1949年に、明るい豊かな社会の実現を理想とし、責任感と情熱をもった青年有志により東京青年商工会議所が設立され、日本の青年会議所運動が始まりました。この運動は日本全国に拡がり、1958年に、38名のこのまちを想う青年により全国で151番目の青年会議所として、加古川青年会議所が設立されました。青年会議所の「修練」「奉仕」「友情」の三信条のもと、より良いまちづくりをめざし、社会課題の解決に積極的に取り組んできました。過去から紡いできた想いをしっかりと受け止め、歴史に敬意を表し、変化の多い時代だからこそ、私たち青年が率先してこのまちを良くするために行動しなければなりません。
 社会情勢が変化する中で、情報技術が急速に発達するとともに、価値観が多様化し、経済や生活に様々な影響を与えています。しかしながら、私たちは時代が変化しようとも変わらないことがあります。それは、この地域を明るく豊かにするために、青年らしく挑戦することです。まずは、この理念に共感する青年を1人でも多く迎え、運動を拡大します。そして、この地域を牽引するリーダーとなるべく、人財育成を行います。組織の基盤を固め、リーダーとしての資質を磨き、地域とのパートナーシップを築きながら、私たちにしかできない運動を展開します。

 

 

1つギアを上げよう

 車を走らせるとき、1つギアを上げるとさらに速度を上げることができます。同じ速度のままギアを上げずに現状を維持するだけでは、地域をより良くすることはできません。地域のために何かできるとしたら、あなたなら何をしたいですか。私は、ギアを上げてこの地域の将来を想い行動する人を1人でも増やし、その先の5年後、10年後を明るくしたいと強く願います。
 私たちの活動エリアである加古川市、稲美町、播磨町はそれぞれの歴史や風土は異なりますが、つながりが深く一帯の都市圏を構成しています。そして、若者の大都市への流出による人口減少という共通の課題を抱えています。また、日本全体では出生率が過去最低を更新し続け、新型コロナウイルス感染症対策の影響、国外情勢の緊迫など、多くの不安が蔓延しています。この地域でも将来に対する漠然とした不安が拡がっています。これからも簡単には解決できない地域の問題が数多く存在するでしょう。誰かが解決してくれるだろう、誰かが将来を明るくしてくれるだろうという考えでは、何も変わりません。私たちはこの不安と向き合いながら、自分たちの手でより良い未来を築いていかなければなりません。まずは、私たち青年が自分の生活するこの地域からより良くするために行動し、同志を1人でも多く増やしていくこと。それが私たちの使命です。

 

 

まちづくり

 子どもは地域の宝です。地域の青少年の豊かな心を育むには、人間性と創造性が必要です。青年会議所は、戦後の荒廃の中、国家の再建と世界平和の実現に向けて設立されました。2025年は終戦から80年の節目になる年です。当時の経験は時代とともに薄れてしまいますが、私たちは世界平和を願う団体として、歴史を次の世代に伝えていかなければなりません。まずは、豊かな人間性をもって活躍してもらうために、日本人としての心が重要です。日本の文化と地域の歴史を知り、日本人らしい謙虚な心を育みましょう。そして、創造性を育むために、感受性が高い子どもの頃の成功体験は重要です。自分で興味をもち、調べて行動し、達成するという小さな成功を積み重ね、大きな成功へと導きましょう。何事にもくじけず、あきらめない心をもつ、創造性豊かな青少年を育成しましょう。
 私たちは地域課題に対して、その場しのぎの解決策を探すのではなく、根本的な解決に取り組み、未来をつくる運動を展開しなければなりません。まずは、一市二町の異なる特色や歴史を活かし、風土の違う地域で連携し、相乗効果でさらに地域を活性化させましょう。そして、地域の未来を見据えて課題解決に取り組み、持続可能な社会を構築する必要があります。この地域に住む一人ひとりが普段の生活や経済活動を通して、当事者意識をもって取り組まないと解決には向かいません。現状だけに目を向けるのではなく、長期的な視点をもって、地域の未来のために意識変革を起こしましょう。

 

 

ひとづくり

 地域の関係諸団体、先輩諸兄姉、そして家族の支えなくして、私たちは活動できません。支えていただいている多くの方々に感謝の気持ちをもって、対面で交流し、深い関係性を築きましょう。多くの出会いが財産になり、個人の価値を高め、組織の信頼を築くことにつながります。JCならではの信頼とネットワークを構築しましょう。
 私たちには生まれもった個性の他に資質があり、磨くことで輝かせることができます。青年会議所は大人の学び舎です。私たちは謙虚に学び、資質を磨き、地域のために貢献できる人財となる必要があります。「まちがひとをつくり、ひとがまちをつくる」まずは、人を巻き込むために、個人として、献身的なリーダーシップを身に付けましょう。そして、組織の一員として、技術革新に柔軟に対応できる経営力を高めましょう。また、私たちは多種多様なメンバーで構成されています。青年会議所運動の基礎を学び、正しい共通認識をもち続けましょう。

 

 

共感づくり

 会員拡大は青年会議所運動を展開する手法の一つですが、運動の基盤となる手法です。私たちの理念に共感してもらい、40歳までの限られた時間を共に走り抜ける同志を増やすことは、私たちの運動を起こす力を大きくします。まずは、新たな同志を1人でも多く迎え入れ、私たちの運動を拡大しましょう。多様な価値観があるからこそ、多面的な議論が行われ、組織がさらに強固になります。毎年組織の若さを保ちつつ、青年の柔軟な発想力で、大きく運動を展開するために力をつけましょう。
 私たちの運動を多くの方に共感してもらうためには、広報戦略が欠かせません。私たちの地道な運動は、現代では多くの情報に埋もれてしまい、目立たない部分もあります。戦略的に情報発信を行い、共感を拡げる必要があります。まずは、加古川青年会議所がプロモーションを行い、地域の存在感を高めましょう。そして、私たちの理念を多くの方に共感してもらうために、時代に即した媒体を選択し、効果的に情報を発信し続けましょう。1人でも多くの共感を生み出し、運動の拡大につなげましょう。

 

 

組織づくり

 総会は加古川青年会議所の最高意思決定機関です。大きな方向性を総会で決め、理事会では個々の運動構築を行います。まずは、限られた時間の中で最良の意思決定が行えるよう、確固たる土台を築きましょう。そして、熱く議論を交わし、目的達成のためには妥協せず、最善の手法を取り入れて、効率的かつ質の高い会議を実現しましょう。また、時代の変化に合わせて定款諸規定変更を検討し、私たちが活動しやすい環境を整えましょう。そして、近隣の青年会議所と連携し、同じ志をもった仲間として切磋琢磨しながら、共に助け合い、絆を深めましょう。
 青年会議所には4つの機会があります。「個人の機会」、「地域の機会」、「国際の機会」、「ビジネスの機会」これらの機会はいつでも手にすることができます。加古川青年会議所内だけでなく、外にも多くの機会があり、多くの出向者が経験を積み、成長しています。まずは、外にある数多くの成長の機会をメンバーに提供しましょう。そして、出向するメンバーを気持ちよく送り出し、新たな学びを共有することで、組織全体の成長につなげましょう。また、私たちには多くの出会いがあり、その出会いは一瞬かもしれませんが、つながりは一生続きます。その一瞬の出会いにおいて、私たちのビジョンが正しく伝わるツールを作成しましょう。そして、加古川青年会議所を支えてこられた先輩諸兄姉とのつながりは、私たちの財産です。積み重ねてきた歴史を感じ、これからも多くのつながりをもち続けられるように、今あるツールを更新し、メンバーの帰属意識を高めましょう。

 

 

結びに

 人口減少、少子化問題、経済不安、将来についての不安は数え切れません。私は20歳のときに、リーマンショックによる金融危機で、日本経済も先行き不透明になり、将来に対する漠然とした不安を感じました。この不安を解消したい、世の中をより良くしたいと考え、周りの反対を押し切り、学生時代に起業を決意しました。しかし、目的と手段が一致しておらず、自分の想いを叶えることはできませんでした。強い想いと行動力はあったものの、世の中をより良くする力がなかったと実感しております。それから8年後に加古川青年会議所に出会いました。
 そして今、青年会議所で地域をより良くする力をつけ、自分で道を切り開くことができる人を増やしたいと考えています。私たちはその時代を生きる青年の視点で地域の課題を捉え解決を図ってきました。私たち青年が、まずは当事者意識をもち、不安や課題に向き合わなくてはなりません。漠然とした不安を、明確化して解決方法を探り、不安の解消のための一歩を踏み出さなければなりません。私たちが率先して行動し、成長し続ける組織であり続けるために、手を取り合って足並みを揃えて、私たちの周りから共感の輪を拡げていかなければなりません。
 何かを成し遂げることで、さらに自分の能力を引き出すことができると考えます。加古川青年会議所とこの地域にはまだまだのびしろがあると考えています。そして、2025年度は大きく3つのギアを上げていきます。まずは、少し背伸びをしてさらに上の役職を目指せるように成長のギアを上げていきましょう。青年会議所は数多くのリーダーを輩出してきました。1年の限られた時間を大切にし、自己成長に努めましょう。次に、運動のギアを上げていきましょう。運動とは簡単に言えば、自分の周りの人の意識をポジティブに変えていくことだと考えます。その意識変化が地域に拡がり、明るい豊かな社会につながります。そして、メンバーのJCに対する意識のギアを上げていきましょう。誰かがやるのではなく、自分がやる、自分のためだけにやるのではなく、誰かのためにやる。次世代の未来をより良くするために、今、行動を起こしましょう。