2026年度理事長所信

一致団結~道をひらく~一致団結~道をひらく~
2026年度一般財団法人加古川青年会議所 第68代理事長 芝本航2026年度一般財団法人加古川青年会議所 第68代理事長 芝本航

2026年度一般社団法人加古川青年会議所
第68代理事長 芝本 航

はじめに

 日本での青年会議所運動は、1949年に明るい豊かな社会の実現を理想とし、責任感と情熱をもった青年有志による東京青年商工会議所の設立から始まりました。1951年には全国組織である日本青年会議所が創立され、そして、1958年に38名の志高き青年により日本で151番目に加古川青年会議所が設立されました。以来、先輩諸兄姉のたゆまぬ努力と挑戦により、地域課題に真正面から向き合ってこられた歴史は、私たちにとって誇るべき財産であり、守り継ぐべき精神でもあります。
 現在、私たちを取り巻く社会環境や地域の姿は日々変化しており、青年会議所の役割や価値も、より柔軟で創造的な発想が求められる時代を迎えています。2026年度は、兵庫ブロック大会の主管という重責を担うと同時に、70周年を見据えた中長期的な組織づくりの起点となる一年です。これまでの想いと活動を受け継ぎながら、これからの時代にふさわしい形で、地域にとって本当に必要とされる運動を、私たちの手で創りあげていかなければなりません。

 

 

青年会議所運動とは

 青年会議所が行うべき運動とは、地域の未来に責任を持つ青年が、社会課題に真摯に向き合い、自らの手で解決の道をひらいていく「まちづくり」と「ひとづくり」の運動であると考えます。その本質は、地域に必要とされる存在であり続けるために、志を同じくする仲間と共に実践を重ねながら、地域社会と自分自身を成長させていく過程にあります。
 青年会議所が掲げる三信条「修練・奉仕・友情」は、その運動の根幹をなす価値観です。私たちは、日々の運動を通じて多様な学びと経験を得る「修練」を重ね、利他の心で地域と向き合う「奉仕」に取り組み、苦楽を共にする仲間との「友情」を育んできました。これら三つの精神が交差するところに、青年会議所にしかできない運動の意義と、唯一無二の成長の場が存在すると確信しています。
 青年会議所の運動は、単なるイベントや企画ではなく、背景を調査し、課題を特定することで、社会に必要な提案と行動を積み重ねていく本質的な運動です。その運動の実践こそが、私たちを変え、組織を変え、そして地域社会をより良い未来へと導く力になると、私は信じています。

 

 

理念と覚悟

 加古川青年会議所の2026年度スローガンは「一致団結〜道をひらく〜」です。
 「一致団結」には、すべてのメンバーが立場や経験を問わず、互いを信頼し、支え合いながら一枚岩となって進んでいくという強い願いを込めています。青年会議所の運動は、誰か一人の力で成し遂げられるものではありません。それぞれの役割と誇りを持ち、心をひとつにして動き出したとき、その力は想像を超える大きなうねりとなり、まちを、そして自分たち自身を変えていく原動力となります。
 そして、「道をひらく」という言葉には、混迷する時代の中にあっても、自ら考え、行動し、誰も歩んだことのない未来を切りひらいていく青年会議所の使命を重ねました。これは松下幸之助氏の著書『道をひらく』から着想を得た言葉であり、固定観念にとらわれず、失敗を恐れず、信念と創意工夫をもって前進する姿勢を象徴しています。
 青年会議所運動は、過去の延長ではなく、未来を創る挑戦です。この二つの言葉を一つのスローガンに掲げることで、私たちが力を合わせて乗り越え、そして次の世代へと続く新たな道を創りあげていく覚悟を示したいと考えています。
 また、私自身の信条として掲げるのは、「素直な心」です。物事をあるがままに受け止め、他者に耳を傾け、柔軟に学び続ける姿勢は、すべての変化と成長の出発点です。多様な意見を受け入れ、謙虚に学ぶことで、組織は一層強くなり、青年会議所が地域にとって本当に必要な存在であり続けられると信じています。

 

 

未来へつなぐ会員拡大

 青年会議所の会員拡大運動は、単に会員数を増やすことが目的ではありません。私たちが目指すのは、地域の未来に責任を持ち、変化を起こせる青年の輪を広げることです。今、私たちがこうして活動できているのは、67年間にわたり先輩諸兄姉が仲間を迎え入れ、この運動を絶やさず継続してきたからに他なりません。会員拡大運動は青年会議所における根幹をなす運動であり、新たな出会いがメンバー一人ひとりの意識を変える機会でもあります。創立70周年での会員100名体制の実現を目指し、会員拡大は一部の担当者に限られた役割ではなく、すべてのメンバーが関わるべき組織運動として取り組みます。会員拡大の機運をさらに高め、地域に必要とされ続ける青年会議所であるために、持続可能な組織の構築を目指します。

 

 

未来を担う人財の育成

 私たちが暮らす地域社会の未来を切りひらいていくのは、これからの時代を生きる若い世代です。少子高齢化が進む現代において、未来を担う若者が主体的に地域や社会に関心を持ち、行動できる環境を整えることが求められています。特に、まちづくりや政治といった将来を左右する分野において、若者の声が届きにくい現状に対し、青年会議所として果たすべき役割は大きいと感じています。地域の課題に目を向け、自ら考え、伝え、行動する。そのような主権者意識を育む運動を展開してまいります。同時に、私たち自身も多様な視点に触れ、自らの成長を実感できる機会にしたいと考えています。
 また、地域の未来を切りひらくために、私たちには、常にリーダーとしての力を高めていく姿勢が求められます。青年会議所の理念や運動への理解を深め、志を共有することが、自己の成長を促し、組織の力強い土台を築く礎となります。

 

 

共創と責任で築くまちの未来

 地域に根差し、まちの可能性を引き出す運動こそが青年会議所の使命です。今、私たちはこのまちの未来を担う世代として、その責任を自覚し、地域課題に正面から向き合い続けなければなりません。変化が激しく、将来像が見えにくい時代だからこそ、感覚や思い込みではなく、エビデンスに基づいた課題設定と事業構築が必要です。まちの文化や歴史にも目を向け、住民、行政、各種団体と共にまちづくりに参画し、青年会議所ならではの社会実験を仕掛けていきます。そして何より、地域の人々も私たち自身も「参加したくなる」「関わりたくなる」ような、ワクワクする運動を展開していきます。心が動き、未来に希望が生まれる。そのようなまちづくりに挑戦してまいります。その積み重ねが、まちへの愛着を育み、次の世代へ受け継がれていくと信じています。

 

 

感謝と絆でつむぐ交流

 加古川青年会議所が歩んできた歴史の背景には、先輩諸兄姉のたゆまぬ努力と、地域、家族との深い信頼関係があります。私たちはその想いを継承し、つながりに対する「感謝」を原点として、多様な関係者との絆を再認識し、次世代へと確かな形でつなげていかなければなりません。組織の基盤を支えているのは、メンバーの団結力とその背後にある関係性です。先輩諸兄姉との交流、地域団体との連携、家族間のつながりを丁寧に育みながら、より強く、愛され、信頼される組織を目指します。

 

 

運動の質を高める組織運営

 組織運営は、加古川青年会議所のすべての活動を支える屋台骨です。議案書や会計の管理、最高意思決定機関である総会の円滑な運営といった基礎業務の的確な遂行は、組織の信頼と品格を築く根幹です。時代の変化に即した柔軟な運営体制を構築し、業務の効率化や情報管理の最適化を図ることで、より持続可能で機動力のある組織づくりを目指します。
 また、社会的影響力を高める戦略的な発信体制を整備し、加古川青年会議所のブランド価値を高めていくとともに、対内広報の充実を図ることで、組織全体の一体感と行動力を引き出してまいります。

 

 

11年ぶりの挑戦を、地域と仲間の誇りに

 2026年度、加古川青年会議所は兵庫ブロック協議会主催「第59回兵庫ブロック大会」の主管という大きな責務を11年ぶりに担います。本大会は、県下青年会議所が一堂に会し、資質向上と地域連携を深める場であり、私たちがこれまで積み重ねてきた経験と信頼を活かす絶好の機会です。本大会では、すべてのメンバーが当事者として関わり、「一致団結」を体現することを目指します。また、兵庫ブロック協議会との連携を密にし、能動的に新たな視点を取り入れながら、県内外に地域の魅力を発信し、多くの賑わいと感動を創出します。そして何より、地域の方々や先輩諸兄姉への感謝を胸に、仲間と共に歩んできた軌跡を形にすることで、この地域の未来と青年会議所運動の価値を確信する大会へと昇華させてまいります。

 

 

結びに

 加古川青年会議所には、長きにわたり築きあげられてきた歴史と誇りがあります。幾多の困難や変化を乗り越え、その時代ごとに必要な運動を仲間と共に創り、地域と向き合い続けてきた先輩諸兄姉の歩みが、今の私たちにつながっています。そして今、私たちは70周年という大きな節目へ向かって歩みを進めようとしています。2026年度は、11年ぶりの主管となる兵庫ブロック大会、さらには全国大会が神戸で開催される特別な一年となります。この大きな挑戦の中で、私たちは「一致団結」という旗のもと、改めて加古川青年会議所の存在意義と価値を再認識し、新たな「道をひらく」使命があると私は考えます。
 私は、加古川青年会議所が心から大好きです。ここで出会った仲間とのつながり、挑戦を楽しむ風土、真剣にまちと向き合う姿勢に、何度も心を動かされ、成長の機会をいただいてきました。今度は私が、仲間のために、まちのために、その先頭に立ちたい。明るく、元気に、前向きに。最前線で汗をかき、共に喜び、共に悔しがり、感動を分かち合える理事長でありたいと強く思っています。理事長一人の力では青年会議所の運動を創ることはできません。一人ひとりの想いや行動が重なり合ってこそ、社会を変える力になります。だからこそ、すべてのメンバーが「自分ごと」としてこの一年に関わり、ワクワクする運動に心を動かし、仲間と支え合い、共に挑戦することのできる環境を、私は全力で創りあげます。青年会議所は、社会をより良くする運動を仲間と共に創ることで、私たち自身の成長とリーダーシップを育む場です。この確信を胸に、一人でも多くの人と想いを共有し、加古川青年会議所の未来、そしてこのまちの未来を、必ず切りひらいて参ります。
 すべての原点は「素直な心」。変化を恐れず、謙虚に学び、正しいと信じる道を歩むこと。この心を大切に、2026年度、加古川青年会議所を新たなステージへと導く覚悟です。

 一致団結で、未来へ。共に、新たな道をひらきましょう。